突然ですが
ホトトギス

まえがき

「突然ですかキリギリス」という本がある。サザンオールスターズのベーシスト関口和之氏が1983年に書き下ろしたエッセイだ。桑田佳祐との出会い・サザンオールスターズ結成からデビューに至る数々のエピソードが綴られている。
この本の前書きで、関口氏はこう言っている。「あまり美しくないストーリーだが、どっちみち青春なんて自分たちにのみ美しければいいのだと思っている。」
素晴らしい。まったくその通りだ。
自分の人生を振り返ってみたところで、心動かされる感動的な出来事なんてそうたくさんあるものじゃない。
美しいストーリーばかりの人生の人はいないと思うし、それはもしかしたら本当は面白くない人生なのかもしれない。
「人生山あり谷あり」だから楽しいんだよね、きっと。
かと言って、別に苦しいとか楽しいとか、そんな事ばかりじゃなくても、どうでもいいような適当に過ごした時間にだって意味はあるし、色んなエピソードがくっついてくる。
青春時代だって、それらすべてをひっくるめて、最終的に自分だけに美しいストーリーが出来上がればそれで十分なんだ。
だからこれを読んで「あ、この人私なんかよりもっと不幸なんだ、私のほうがずっと幸せだ」なんて思ってもらうのが、この物語の正しい読み方なのかもしれない。

僕の友人は心の広い人ばかりだから、多少のディフォルメは許してくれるだろう。あ、でも先に謝っておこう、みんなごめんなさい。
関口氏は28歳で「突然ですかキリギリス」を書き下ろした。今28歳の僕は、まさにこの物語を書く絶好のタイミングだと思う。

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